ハゼの四季ごとの行動パターン
マハゼは通常1年で生涯を終え、体長は、成魚となる冬までに20cm前後に成長する。生涯を通じてほぼ動物食で稚魚期までは動物プランクトンその後は底生動物を主食として生活する。
遅いものでは3月に産卵することもあるが、卵の保護育成を終えて、通常なら平均し13ヵ月程度で一生を終える。
ハゼ釣りの場所
マハゼは、大陸のアムール川河口から、北海道から種子島までの日本列島沿岸、韓・朝鮮半島、中国の黄海・渤海沿岸地方などを天然分布域としている。
日本では、夏に内湾や河口域の浅瀬で簡単に釣れる対象魚としては、最も幅広い市民に親しまれている魚でもある。浅い岸ぎわに出没する習性、また汚濁に比較的強いとされ都市部の内湾にも生息することから、船舶の浮沈を調節するバラスト水に混入して運ばれることがある。
マハゼは、オーストラリアのシドニー近郊、アメリカ合衆国カリフォルニア州などに帰化定着が確認されているのだが、これはバラスト水による輸送が起源であると考えられている。
また、アメリカ合衆国に定着していることがよく知られているもう一種の日本産ハゼ科魚類アカオビシマハゼも、岸ぎわによく出没する沿岸魚であることから、これら遠方への人為的拡散は、船舶による移動であることが確実視されている。
マハゼは内湾の砂泥底に多く生息し、海深0mから15mくらいまでの部分から、河川の河口域付近を活動域としている。水質汚濁には強いとされるが、季節と成長段階に応じて主な生息場所を変え、一生を通じると様々な空間を利用する。
さらに、港湾部、サーブ、磯、河川内といったフィールド形態をからめて考えることで、ハゼの居場所はある程度絞り込むことができる。もちろん条件変化(天候、水況、時間、エサ生物の動向など)によってハゼの居場所も変わるので、柔軟な対応が必要になる。
基本的には沿岸部であれば、あらゆるフィールドにハゼは釣れる。サイズの大小を問わなければ、最も数が多く見られるのは汽水域で次いで港湾部から続く砂浜や磯場です。
又、水位や水流、水質、水温の変化に応じて居場所を変えるハゼだが、行動パターンは季節ごとにある程度決まっている。
マハゼのサイズは全長15cm程度だが、25cm程度に達する個体もある。
春 ハゼ釣り
具体的な釣り場としては、水温が上がりやすく、ハゼの餌となる甲殻類などが豊富な潮の差してくる河口域や河川の浅瀬などがポイントとなります。
ハゼは早春に産卵をおこないますから、それが終わると死んでしまいますが産卵期は南の方ほど早く、また条件によって変動幅が大きいことで知られているが、東京湾を例に取ると最盛期は1~2月である。
オスは複数の出入り口がある深い巣穴を泥の中に掘り、メスを呼び込んで産卵が行なわれる。その後はオスが、1ヵ月近く卵の世話をする。
1ヵ月程度でふ化した仔魚は、巣から出て浮遊生活を送り、動物性プランクトンを食べて成長する。
そのまま浮遊生活を送る稚魚期は、内湾の広い範囲で確認できるが、動物プランクトンが比較的多い河ヶ口付近に集まる傾向がある。中層から表層で暮らす生活は、遊泳力を持った後も継続し、東京湾では3~4月、体長2cm前後の幼魚期まで続く。
暖かい5月ごろに釣れる場所は、産卵時期が早めに終わっていたところです。
夏 ハゼ釣り
桜も開花し、日照時間の増加とともに水温がぐんぐん上昇しはじめる5月に入るとデキハゼが釣れだし、7~8月になると、体長は7~10cm前後まで成長し、河口沿岸、人工的な運河や埋立地付近のさらに浅瀬の岸ぎわに集まるようになる。
海深0~1m程度の浅瀬で、陸釣りによるハゼ釣りが盛んに行なわれ始める時期である。この頃のマハゼは摂餌意欲が強く、人影が間近な場所でも食べものに飛びつくことから、初心者でも手軽に楽しく釣りができます。
秋 ハゼ釣り
秋も深まり、10月後半になると、北寄りの風が吹き始め、気温・水温ともに、徐々に下がり始める。しかし大気温と比較して海水温はそう簡単には下がらないので、海中は11月に入っでもまだまだ生物相も豊かで高活性のままの場合が多い。
夏が過ぎ秋になるころには、もっと成長したダボハゼに出会えるので、ハゼ釣りの時期としてはベストシーズンといえるかもしれません。
朝夕のマズメ時、もしくはしっかりと潮の動きのある時間帯に活性が上がるので、ダボハゼの数釣りを体験することができるでしょう。
冬 ハゼ釣り
ハゼを冬に釣ることは寒いし、数が多くは釣れません、しかもアタリが微妙で『居食い』をします。
しかし、サイズは20㎝前後とデキハゼと比較にならないほどの大きさです。
ハゼは、冬は来たるべき春の産卵に向けて、体力を温存するために、水温変化の少ない深場に潜み、じっとしているようになります。
この状態のハゼを釣るのは困難なので、暖かくなって産卵を終えた段階で、また釣り対象魚になってもらうほうがよさそうです。
大きなサイズを狙うなら、産卵に備えて冬の深場に潜んでいるハゼを探し出すというのも、釣りの楽しみ方のひとつです。
ハゼの移動、回遊ー水位・水流・水質・水温の変化
行動パターンでハゼ大きく分けると、居つき型と回遊型の2タイプがある。比較的同
じ海域にとどまる傾向にあるのが居つきタイプで、季節やタイミングによってかなり広い海域
を移動するのが回遊型タイプだ。
回遊タイプのハゼはもちろん、居つき夕イプのハゼでもかなり広い範囲を移動する。いずれのタイプのハゼでも、移動する理由として、以下のような条件が考えられる。
①水位変化(潮汐、降雨による増水、低気圧の接近に伴う海面膨張など)
②水流変化(潮汐、河川の増減水、地形変化など)
③水質変化(潮汐、河川流入、プランクトン量、 汚染水の流入など)
④水温変化(潮汐、各シーズン性、日射、降雨 など)
これらの条件が複雑にからみ合って、ベストなフィールド状況が生まれる。ベストなフィー
ルド状況とは、「ハゼが最も効率よく、かつ安全にエサを捕食できる状況」に他ならない。
つまりハゼの行動を左右するのはエサ(ベイト)の動向なのだ。これによりハゼの群れの大ささや回遊も決まる。水位や水流、水質、水温のバランスでエサの種類が変化し、ハゼのサイズも狙うべきポイント、釣り方も極端に変化する。