シーバスの四季ごとの行動パターン
水位や水流、水質、水温の変化に応じて居場所を変えるシーバスだが、行動パターンは季節
ごとにある程度決まっている(「シーズナルパターン」という)。
さらに、港湾部、サーブ、磯、河川内といったフィールド形態をからめて考えることで、シ
ーバスの居場所はある程度絞り込むことができる。もちろん、イレギュラーな条件変化(天候
や水況、時間、エサ生物の動向など)によってシーバスの居場所も変わるので、柔軟な対応が
必要になるのはいうまでもない。
基本的には沿岸部であれば、あらゆるフィールドにシーバスは出没する。サイズの大小を問
わなければ、最も数が多く見られるのは湾内で次いで湾内に隣接する河川周辺、港湾部から続
くサーブや磯場などだ。もちろんこれはマルスズキの場合で、ヒラスズキは外洋を好む。
フィールド形態として、例外的に考えられるのは、港湾部(湾奥)にポツンとあるサーブや
小磯帯や、外洋に面したサーブや磯場にポツンとある港湾部。これらは水深や底質が周辺とは
異なっているため、エサ生物が集まる条件が揃っている、シーバスはごく浅い岸辺の障害物
周りと深場(50メートル以深)の岩碓帯を行き来しており、こういった変化のあるフィールド
は、ます間違いなくシーバスの通り道になっていると考えていい。
冬~早春 シーバス釣り
東京湾などの場合、多くのシーバスが水深50~80メートルほどの湾口の深場で産卵・越冬す
る。時期的には12月~2月に該当し、沿岸部の水温が最も低下する季節だが、深場は安定した適水温が保たれているのだ。
3月に入ると、シベリア高気圧の張り出しも弱まる。三寒四温の天候が続き、ときに暖かい
南寄りの風が吹くようになるため海水温も徐々に上昇し、シーバスは越冬・産卵場所から離れ、大きな群れで湾内を回遊する。回遊といっても一気に接岸するわけではない。平場と呼ばれる水深20メートル前後の根周りや、平場に最も隣接したボトムの変化に、一時的に何千何万尾という大群でやってくるようになる。
湾内の奥深く、工場の温排水の周りなどで年を越したシーバスがいますが、これらは、外洋から入ってきたシーバスちと容易に識別できます。
外洋から入ってきたシーバスは、コンデショシもよく、体色も銀色に輝いていて、引きもたいへん強烈です。
次第に水温か上昇しますが、海という大きな容積が完全に温まるのは、地上より1、2ヶ月月遅くなります。それでも、内湾は外洋に比べて水温の上昇は早いのですが、寒い日が何日か続くと水温も下かってしまいます。こうなると、シーバスたちも安定した水温の場所を求めて、港やシーバース、温排水、また黒潮が直接洗う磯場へと集まってきます。 十
この時期はイワシや小サバなどの小魚の数が少なく、メインのエサにはならない。産卵・越
冬後で体力が低下していて、活発に泳ぎ回ってエサを捕ることもできない。そこで、水量の安
定した大規模な河口周辺や河川内で、とらえやすい稚アユを狙ったり、比較的平場(東京湾な
どでは水深15メートル以深)に近い、砂泥のたまった運河の吐き出しなどで、産卵のために浮遊するゴカイ類を捕食したりする。
潮通しのいい堤防や岸壁、サーブ、磯などは最盛期には有望なポイントだが、春先は潮汐や
天候(主に南風と北風)の影響を受けやすく、水温が安定しない。そのため小魚などのエサ生
物も集まりにくい。条件のいい日には小魚が大挙して接岸することもあるが、ムラが多く、い
いポイントとはいえない。
一般的に2月~3月頃が水温が最も下がる時期になるので、シーバスは水温の安定したエリアや水温の上がりやすいエリアに姿を現すことが多い。たとえば温排水が流れ込んでいる場所が挙げられます。
又、水温の上がりやすいエリアは、太陽光で温まりやすい場所、南向きのワンド、冷たい北風があたらない場所などです。また、バチ抜けが本格的に始まるのはこの時期からです。
春~夏 シーバス釣り
桜も開花し、日照時間の増加とともに水温がぐんぐん上昇しはじめる4月に入ると、いよい
よ湾奥の障害物や地形の変化かおるポイントに魚が散っていく。大河川を遡上するもの、工業
地帯のシーバース圜辺につくもの、潮流が変化する護岸や堤防周辺に朝夕のマズメ時に回遊し
てくるものなどがいて、いずれも活発にエサを追う。小魚が接岸することによりルアーが届く
範囲を回遊するシーバスが増え、ルアーへの反応もよくなる、サイズの大小を問わなければ、
最も釣りやすくなるのがこの時期からである。
湾内でのベストシーズンは、3月末から6月いっぱいまで続く。
しかし、梅雨前頃から内湾部ではかなり高水温となって有機物が増加し、それに伴うプラン
クトンの大増殖が始まり、赤潮に代表される水質悪化が問題となってくる。本来スズキ釣りと
いえば、夏の風物詩であり、夏場が最盛期であった。しかし現在では、水質悪化(酸素不足、
塩分濃度低下、赤潮など)の影響で一時的に小魚類が内湾部から湾口部に避難する。それに合
わせてシーバスも潮通しのいい湾ロエリアに移動する。夏場にシーバスを狙うのであれば、潮
通しのいい沖堤防や、河川から流れ込む悪水の影響を受けないエリアを探したほうがいい。
夏でも水質の悪化しない河川なら、かなり上流まで小魚を追って遡上する。河口から一番最
初にある大エン堤や、瀬などの下が有望なポイントとなることが多い。
春に釣果をあげるには
春の季節にシーバスを釣る為のポイントは下記のとおりです。
①バチ抜けポイント(河川、運河)
②稚アユがいるポイント(河川、運河など)
③イワシなどが回遊してくる釣り場(外海に面した場所、サビキ釣りのポイント等)
秋~冬 シーバス釣り
秋も深まり、10月後半になると、北寄りの風が吹き始め、気温・水温ともに、徐々に下がり始める。しかし大気温と比較して海水温はそう簡単には下がらないので、海中は11月に入っでもまだまだ生物相も豊かで高活性のままの場合が多い。来るべき産卵に備えて、荒食いを見せながら、冬から舂の逆ルートをたどって深場に大群で移動していく。しかも産卵直前の11月以降になるとシーバスのサイズもエサとなる小魚のサイズも大きくなっているため、ビッグプラグに猛然とヒットしてくる、最高におもしろい時期である。
具体的にいうと、シーバスが深場に落ちていく途中にあるストラクチャーなどのなんらかの変化がある場所に狙いを絞り、湾奥から湾口側へ移動しながら釣っていくのが、この季節のパターンである。
秋は台風の季節であり、大量の雨水と強風によって水質の変化が起こりやすく、台風が通るとそのエリアは大きく荒れます、台風によって釣り場が大荒れになった場合は、水温と水質が安定して魚が戻ってくるまで、しばらく釣りにならない状況が続いたりします。
しかし、釣り場によっては逆に台風時に魚が溜まるポイントがあったり、ポイントが絞り込まれるパターンがありますのでそのようなポイントが見つかれば台風後は狙い目となります。具体的に言うと支流です、台風の時は鮎もシーバスも支流に逃げ込みます。
サーフと磯場のパターン
外洋に面したサーフと磯場は、群れで回遊するシーバスを狙い撃ちする釣り方になる。産卵
期前後の10~3月頃が、群れの大きさを考えてもベストシーズンといえるだろう。
さらにベイトフィッシユが接岸するタイミングも非常に重要になる。たとえばサーフでは、
3月前後に河口周辺に遡上期の稚アユが集まるし、11月前後にはコノシロが大量に発生する。
この時期はシーバスの産卵前後にあたることもあって絶好の狙い時となる。磯場でいうと、
12~2月にはキビナゴが接岸し始めるし、シーバスの産卵期とはズレるが小サバが大量に回遊してくる舂から初夏にかけても期待がもてる。
いずれにしても、群れで行動するシーバスを回遊ポイントとタイミングを見計らって狙い撃
ちする釣りなので、常に自然を観察する目が求められる。水温などのちょっとした変化でベイ
トフィッシュの接岸時期や回遊コースが変わることも多いのだ。
たとえばサーフなどでは、夏場は基本的にシーバスの群れが小さくなってしまうので、難し
いといわれる。しかし、年によってはイワシが大群で海岸部に打ち寄せられていたりする場合
がおり、そんなときは、季節に関係なく、ヒットが連発することもある。
シーバスフィッシングにおいて、シーズナルパターンを知るのは基本だ。だが、それだけに
とらわれてはいけない。データはあくまでデータであり、釣り場に立ったら、まずはフィール
ド状況をよく観察することが大切だ。
シーバスの移動、回遊ー水位・水流・水質・水温の変化
淡水のルアーフィッシングに慣れたアンブラーが、海のルアーフィッシングを始めて最も難
しく感じられるのが、魚の動きを予測することだろう。シーバスの潜んでいそうな橋脚や堤防、河口周辺など何かしら変化のあるところを狙ったとしても、魚のいるタイミングをはずしてしまえば、何度釣行してもボウズということになってしまう。
行動パターンでシーバスを大きく分けると、居つき型と回遊型の2タイプがある。比較的同
じ海域にとどまる傾向にあるのが居つきタイプで、季節やタイミングによってかなり広い海域
を移動するのが回遊型タイプだ。
回遊タイプのなかでも、内湾(沿岸)部から外洋部の広大なエリアを回遊する(「通し回遊」という)個体と、条件変化により内湾部のエサ場と越冬場所を行き来する(「非通し回遊」という)個体がいる。通し回遊する個体は産卵・越冬のために外洋に近い深場に落ちるが、非通し回遊する個体は、冬期でも条件によって沿岸部でエサをとる。
回遊タイプのシーバスはもちろん、居つき夕イプのシーバスでもかなり広い範囲を移動す
る。いずれのタイプのシーバスでも、移動する理由として、以下のような条件が考えられる。
①水位変化(潮汐、降雨による増水、低気圧の 接近に伴う海面膨張など)
②水流変化(潮汐、河川の増減水、地形変化など)
③水質変化(潮汐、河川流入、プランクトン量、 汚染水の流入など)
④水温変化(潮汐、各シーズン性、日射、降雨 など)
これらの条件が複雑にからみ合って、ベストなフィールド状況が生まれる。ベストなフィー
ルド状況とは、「シーバスが最も効率よく、かつ安全にエサを捕食できる状況」に他ならない。
つまりシーバスの行動を左右するのは、産卵行動を除くとエサ生物の動向なのだ。これによ
りシーバスの群れの大ささや回遊も決まる。水位や水流、水質、水温のバランスでエサの種類
が変化し、シーバスのサイズも狙うべきポイント、釣り方も極端に変化する。それが、シーバ
スフィッシングの最も難しいところでもあり、楽しいところでもある。