鮎釣り 用語集
ア行
あ
アカ
垢、水垢。水中の石の表面につくケイソウやランソウなど、清流性の付着藻類のこと。このアカのつく場所や、その色から、今、アカがどんな状態にあるかを見極めてアユの活性を推測す
ることも重要なテクニックとなる。コケとも呼ぶ。水質のよい所にはケイソウが多く、やや汚れた所ではランソウが多くなる。ケイソウを食べたアユの方が食味はよいという。
アカ腐れ(あかぐされ)
石の表面についたアカが、渇水や高水温などにより死滅し、ふやけた状態になること。一見、アカがあるようだがアユは新鮮なアカが残っている場所に移動するので、その場所では釣れないことが多い。アカ腐れの時の友釣りは全般に低調である。
朝瀬昼卜口夕のぼり(あさせひるとろゆうのぼり)
時間帯と狙い場の関係を示す一種の釣り格言。友釣りだけの特殊な言葉である。「朝瀬」は、人が少ないうちに追いけのよいアユのいる瀬を効率的に釣ることを意味する。人がひとしきり釣った昼ごろに瀬を狙っても分か悪い。
「昼トロ」は、瀬をひと通り釣ったあとは追いが活発になるトロ場のアユを静かに釣ることをすすめている。一日の釣りの組み立て、作戦を端的に示し言葉だといえよう。「夕のぼり」は夕方になると淵にいたアユが瀬に移動してアカをはみ始めるので、それを見逃すなという観察眼からの言葉。もちろん、いつも当てはまるものではないが狙い方をひとことで言い表すことの難しい友釣りの中では、よく考えられた語呂のよい言葉である。
遊びアユ(あそびあゆ)
ソ上した、あるいは放流されたアユのすべてがナワバリを持ち、それを守る生活を送れるものではない。特に過密な状態の時ほど、ナワバリを持てないアユが出る。こうしたアユは群泳し、ナワバリを守る行動である、他のアユヘの威嚇や攻撃をあまりとらない。このようにたくさん見えるがオトリを追わないアユは遊びアユと呼ばれている。
一日のうちでも。ある時間になると他のアユに対してナワバリ反応を示すことがある。釣り上げられたり水況が大きく変わることで遊びアユもナワバリアユになる。また、条件の悪い所にそれなりにナワバリを築くものもいる。
頭掛かり(あたまがかり)
掛けバリが野アユの頭部に刺さって上かってくること。背中に掛かったアユと違って、頭部に掛かる場合はダメージが大きく、次のオトリとして有効に使えないことがほとんど。
脂ビレ(あぶらびれ)
サケ科やキュウリウオ科などの魚の背ビレと尾ビレの間にある、軟らかいヒレ。骨はない。特に運動機能上の特徴はないとされている。
網解禁(あみかいきん)
遊漁には釣りだけでなく網による方法もある。この漁を解禁すること。網漁が解禁になると友釣りができる場所が限定され、魚自体も減ってしまう。
河川によっては網の解禁が事実上の友釣り終了となってしまうため、一定期間。網漁を禁止したり、友釣り専用区を設けて分離している。同時解禁の川もある。
編み付け(あみつけ)
細糸を束ねて規則的に交差させ、編み上げながらハリスなどに接続すること。ハナカンの接続や、目印などに使う。糸本体と直接結ばないので負担にならない。また、細かい糸を束ねて編むことによって強くしなやかに仕上がる。
アユダモ(あゆだも)
掛けたアユをすくい入れたり引き抜いて受けるための玉網。タモ。 地方によっていろいろな特徴をもったタモがあり、郡上ダモ、京ダモなどがよく知られている。また、機能別では径の大きな引き抜き用タモ、底に布袋を張って、近距離ならそのまま水を入れて運搬したり何尾か入れておくことのできる袋ダモ(京ダモ)がある。
素材では針金ワクの安いものから。カヤ製の工芸色の強いもの、あるいは軽金属属など化学素材のものがある。
荒瀬
瀬の中でも、特に流れが速く、底が起伏に富んでいるため荒々しく波打って走る流れのこと。慣れないと釣りこなすことは難しい。その理由は、まず第一にオトリを流れの中に入れにくい。
第二に釣り人自身が流れの中に立ち込みにくい。第三に掛けてからの取り込みが難しいなどが挙げられるが豪快な友釣りが楽しめる。
アルファ目印(あるふぁめじるし)
アルファビッグ社の極細毛糸裝の友釣り用目印。道糸に無精付けするだけでセットでき、小さいから3、4個付けても抵抗が少なく、また1、2個水没してもオトリに負担をかけない。友釣りに一つの革命をもたらした。
い
石裏(いしうら)
石の裏側。釣り人側から見た反対側(向こう側)という意味と、石の底側の空間をさす場合がある。前者の場合は釣り残しのアユがいることが多く狙い場となる。また後者の場合は、アカ腐れの時でも比較的アカが残り、それにアユがついてくることがある。
一番のぼり(いちばんのぼり)
天然ソ上のアユの中で、特に早く川を上り、好場所にナワバリをもった個体あるいは群れをさす。先に定着しているため争いの中でも常に優勢で、好場所の良質のアカをはんでよく育つ。解禁当日に出る良型のサイズは、早くからよいナワバリを確保したこれらは一番のぼりだと思われる。
居着
その場に定着していること。ナワバリを持ったアユの別称。居着きのアユはそのエリアへの執着心が強いため、侵入者への攻撃も激しく、執ようである。友釣り本来の面白さは、この居着き狙いにあるといってもよい。釣り人が少ない時代はこうしたアユが友釣りの対象の中心だった。
一本バリ(いっぼんばり)
掛けバリを構成するハリ数が1本のもの。現在ハリの主流は3本イカリや4本イカリだが、友釣り発祥の頃は1本であったと思われる。地域や個人によっては1本バリが好まれ、現在で
も愛用者がわずかだがいる。1本バリに近いものに段差をつけた2本バリのヤナギやチラシがある。仕掛けが軽くなる、根掛かりが少ない。掛かりアユのダメージが少ない。
糸フケ
仕掛けを投入した時の糸がたるんだ状態。友釣りではオトリの操作にまでかかわってくる最も重要なファクターで糸フケの大きさ、有無でオトリを泳がせたり。止めたりする。
移動式天上糸
移動する折り返しや垂らしがついた天上糸。折り返しやタラシ部分を増やしたり減らしたりして天上糸の長さが調節できるので、仕掛けの全長を変えるときに便利。
移動式ハナカン(いどうしきはなかん)
鼻カンに糸を結んで固定せず、細糸を使ってハリスにハナカンを編み付けて、スライドできるようにしたもの。オトリの大きさによってハリスの長さを調節することができる。
入れ掛かり(いれがかり)
続けざまにアユが掛かること。普通の釣りではハリを食い込ませることか
ら「入れ食い」というが、体にハリが掛かる友釣りでは「入れ掛かり」と呼
ばれる。
う
上波
上層の流れ。
右岸
川の右側の岸。川の右岸、左岸は上流ではなく、下流を見て右側が右岸、下流を見て左側が左岸である。
浮石
川底で不安定な状態にある石。小さめの石の場合は単に歩きにくい、といった程度だが、大きなものになると大きな事故に結びつきやすい。アユの付き場になることもある。
受けダモ
タモ。アユダモ。
馬の背
流れの中で山の稜線状に底が盛り上がった部分。その両サイドは駆け上がりとなる。友釣りでは特に狙い場を決定づける要因ではないが、ポイントを把握するうえでの用語としてしばしば
使われる。時に好場となる。
え
エアポンプ
オトリ運搬用のタンクに装着する携帯用の電池式空気ポンプ。モーターの震動でチューブを通して空気を送り込む。その音から別名をブクブク。
越年アユ
一年で世代交代をするアユだが、まれに越冬して次の年まで生きる個体がある。そのほとんどは前年に卵巣が未成熟だったメスだといわれる。オバンアユとも呼ぶ。解禁囗に25㎝オーバーが出たりするのは、越年アユであることが多い。
エンドランド
防水、透湿素材のひとつ。汗の水蒸気や熟を外へ発散させるが、外部からの水の侵入は防ぐという、小さな穴を無数に持ったコーティング方法。東ㇾの登録商標。
お
追い
野アユの攻撃行動。追いが激しい、追いが悪い、といった言い方をする。
追い星
正しくは繁殖期のオイカワのオスなどの顔に表れる粒状の突起だが友釣りの世界では、アユの胸のところに小判状に浮かび上がる黄色の紋様をさす。黄班。
大アユ
大きいアユのこと。一般的には25、26㎝以上のもののイメージをさす。全国でも大アユの釣れる河川は絞られ。狙うなら実績場がかたい。
尾掛かり(おがかり)
掛けバリが尾の近くに刺さって上がってくること。背掛かりに次いでダメージが少ないが、まれにハリ先が骨近くまで達することがあり、そんな時は動きが悪くなる。
送り出し(おくりだし)
(ナカンを通し、仕掛けを装着したオトリを流れの中に入れ、ポイントへ誘導しながら進ませること。狙った場所へ、計画したルートから、むだなく送り出すには相当な経験が必要である。一般には手尻は長いほど、立ち込んだ場所が深いほど。流れはゆるいほど、そしてオトリアユが弱っているほど送り出しは難しくなる。
押し
水流の強さ。流勢。あるいは立ち込んだ時に体にかかる水流の抵抗。押しが強い、などという。全体に押しの強いポイントはオトリをうまく入れるのが難しいが、そんな中にも比較的押しの弱い場所があるので、そこへ誘導して沈めて釣るようにするとよい。また、押しの強い所に立ち込むには、流れに対して横を向くか、流れにもたれかかるようにするのがコツ。
落ちアユ(おちあゆ)
晩秋、産卵期を迎えて下流部に下るアユのこと。抱卵しているので味としては好まれるが、婚姻色が出て、体力もないので、釣りとしての面白みには欠ける。秋は一雨ごとにアユが下るといわれる。
落ち込み(おちこみ)
急な段差のある流れの部分。一度落ち込んでから反流するので流れ自体はそれほど強くないため、オトリを誘導しやすい。新鮮なアカがあり、酸素量も多いので、特に渇水期、減水期には好ポイントとして攻める人が多い。また、単に浅場から深場に、急に下がっている川底を指して落ち込みとも呼んでいる。
オデコ
ポーズ。1尾も釣れないこと。普通の釣りでは最悪でゼロだが、オトリを購入して使う友釣りでは根褂かりなどでゼロどころかマイナスになってしまう。
落とし込み(おとしこみ)
上み手をひとしきり釣ったあとオトリを一段下流へ移動させること。瀬で使う方法。竿先を少しあおってオトリを流れに乗せて、落とすようにすると自分から流れの中に潜って定位する。
オトリ
動物などをおびきよせるための同類の動物。昔。鳥のメジロを捕獲する時には、オトリのメジロをカゴに入れて下げておいたという。また、インテリアに使われるデコイも、本来は鴨猟のオトリである。友釣りでのオトリはおびき寄せる、というのではなく相手を挑発するためのもので、世界に数々の釣法があるが、その中でもきわめてユニークなものとして知られている。友釣りは江戸時代の文政末期まで文献上さかのぼることができる。それは静岡県の狩野川である。オトリを使うアユ釣りの歴史は150年以上。
オトリ缶(おとりかん)
オトリアユや釣ったアユを保管しておく容器。
オトリ交換(おとりこうかん)
オトリは使っているうちに疲労する。動きが鈍くなったオトリは野アユから侵略者と目されず、釣れなくなってくる。野アユを掛けたら、その都度オトリを新しいものに取り替えるのが友釣りのセオリーである。
オバセ
糸フケ、フクロのこと。長良川・郡上方面の方言。「糸をオバセる」「ゼロオバセ
ー」などという。狩野川方面でいう「フカセ」と同意。
オマツリ(おまつり)
自分自身の仕掛けが、あるいは他の釣り人と自分の仕掛けが絡んで容昜にとれなくなってしまうこと。細い糸を使う近年の友釣りでは、オマツリは致命的で、ほどいてもう一度使う苦労と不安を考えると、新しい仕掛けに替えた方がよい。
オモリ
仕掛けを水中に沈めるための重し。友釣りでは急流でオトリを底に沈めるために使われる。一般的なものは割り玉のゴム張り。
親アユ
オトリアユの別名(オトリ)
泳がせ釣り(およがせづり)
卜口場やチャラ瀬など流れのゆるいポイントでオトリの自由意思を尊重しながら釣り人の意思をオトリに伝え、オトリを意のままにコントロールし野アユを掛ける釣法の総称。現在では流
れの速い瀬でも、断続的な泳がせ釣りが可能になっている。地域や釣り人によって様々なバリエーションがある。
泳がせ引き釣り(およがせひきづり)
ベタ竿でオトリを泳がせながら時々、竿で引いたりする釣り
カ行
か
カーボン
炭素のこと。これを高温、高圧で処理して繊維状にしたものをカーボン繊維という。この繊維は、軽く弾性に富むため、早くから釣り竿やリール、ゴルフクラブのシャフトなどに利用されてきた。最近は。加工技術がすすんで、さらに純度の高いものが生産されるようになったため、アユ竿のように、より軽く、より長いものが生産可能になった。
解禁
禁止していたことを解くこと。釣りの場合は、禁漁期間が終わって、さあ、釣ってくださいという日にあたり、この日を解禁日と呼んでいる。
アユの場合、早い川では5月、大体6月から解禁になる川が多いが、川の状態や放流時期によって、6月中旬にしたり、7月から、というところもある。
海産アユ(かいさんあゆ)
アユは、晩秋にフ化して海に下り、春先に再びソ上してくるものと、琵琶湖に陸封され、周辺河川で育つ小さなものの2種に大きく分類される。前者はアユ、後者はコアユと呼ばれるが、釣り人は海からソ上してくるアユを海産アユと呼んでいる。また、コアユを普通の河川に放流すると大きく成長する。これを釣り人は湖産アユと呼ぶ。
両者の生態は若干異なり、その点が釣りの特徴としても表れてくる。湖産アユの入った川のテクニックが海産主体の川では通用しない、といわれたりするのもそのため。
替え穂先(かえほさき)
スペアとして購入時に加えられている穂先部分。最初に入っているものが標準とすれば、少し硬い調子のものが多い。状況に応じて使い分けると同時に、折れた時の予備という意味合いが強い。
鏡(かがみ)
水面が波立ったりよれておらず、流れはあるが鏡のように静まりかえったポイント。トロ場の水面。アユの様子がよく見えるかわりに、魚からも釣り人がよく見える。
かけ上がり(かけあがり)
川底の斜面。釣り全般において好ポイントとされる。友釣りではかけ上がりの有無よりも石や流れの存在が大きいが、無視できない要素。初心者のうちは、いきなり流心を狙いがちだが、かけ上がり部分を手前から少しずつ攻めていくような、ていねいな釣りを覚えることが大切である。
掛けバリ(かけばり)
野アユを掛けるためのハリ。キツネ型、早掛けタイプ、長良型、トンボ型。入間型、矢島型などのバリエーションを3本イカリ、4本イカリ、チラシ、ヤナギなどのパターンに組み合わせて使用する。
渇水
川の水が平常より少ないこと。特に梅雨明け後の7月終わりから8月にかけて雨が少なくなると、川の水位がぐんと下がり、アカが腐ってしまう。そうなると瀬のアユがナワバリを捨ててしまう。また物音や人影などに敏感になり、非常に釣りにくい時期のひとつ。
上泳がせ(かみおよがせ)
オトリを釣り人の正向より上みに泳がせて釣ること。
上み竿
流れに直角に立った場合、竿先が正面より上流に向いている状態。また、オトリの泳いでいる位置よりも上流側に竿があること。
川相 かわそう
川の表情。全体に漂うイメージであり、釣りをするうえで欠かせない個々の要素、たとえば水質、水量、石の状態、地質、周辺環境-などをひっくるめたイメージ。石や水、アカの状態を見ることは、すなわち川相を読むことである。ひとつひとつの条件のよしあしがわかるようになると、川全体を見ただけでもある程度、アユの状況がつかめるようになる。川相を見ることは友釣り師の必修課目でもある。
川通し(かわどおし)
川を歩くこと。または対岸まで歩いて横断すること。
川取り
河原に立って、今日一日、釣るポイントの順序を決めて攻め方を組み立てること。その日の川の状況を読んで川取りをしないと釣果に結びつかない。
川読み
川相を見て、攻略手順や方法を組み立てること。実際に川岸に立って、水の状態やアカの状態、石の配置、流れの様子、水温、釣り人の有無などを見なければ竿の出し方は決まらない。
ガレ場
岩の崩れた斜面。川岸にすぐある場合は、そこはよいポイントとはいえない。アユ釣り場となる中流域のガレ場は、道路、護岸工事に関連したもの。
ガンガン瀬(がんがんせ)
荒瀬の中でも、とびきり荒く、上下に波打っているような瀬、または荒瀬の別名。
岩盤
川底の一部またはすべてが岩盤になったポイント。水位の増減に影響されにくく増水時、増水直後などに好ポイントになることがある。また、コケが豊富なので、大型アユが付きやすい。
き
漁協
漁業協同組合。流域自治体の中にあり(一市町村にひとつとは限らない)河川の独占的、絶対的な漁業に関する権利をもち、それを管理している。稚魚の放流、解禁と禁漁、遊漁券の発行、監視、河川管理などをおこなう。また都府県単位で各漁協が加盟する都府県漁連、それをまとめる全国内水面漁業協同組合連合会がある。
く
食い込み
魚体に立ったハリが、しっかり魚体に食い込むこと。
首くくり結び(くびくくりむすび)I
糸の結び方の一種で、引っぱると輪が縮まる方式の結び方の俗称。
汲み上げ(くみあげ)
ダムや堰の下などにたまっている天然ソ上の海産アユを捕獲して、上流部に放流すること。あるいは捕獲されたアユをさす。他の河川に出荷されることもある。
け
毛糸目印(けいとめじるし)
渓流釣りや友釣りのような脈釣りではウキのかわりに軽い目印を使う。毛糸目印とは、毛糸を使ったものだが最近人気が出ているのは伸縮性があり切れがよく、使っていてもずり落ち
ない新素材系のもの。(アルファ日印)
結節強度(けっせつきょうど)
糸の強さを示す基準のひとつ。結節強度とは、結び目をつくった時にどれくらいの耐久力があるかの度合い。結び目がまったくない糸はかなりの強度をもつが、結び目があると、そこがいちばんの弱点になる。現実には結び目のない釣りの仕掛けは考えられないのでその結び目の強さが、その糸の最大の強度となる。
けられ
野アユが掛けバリにかからず、アタリだけが竿先や目印に表れたとき釣り人が野アユを擬人化して表現する言葉。
激流
友釣りでは、流れが遠く底が起伏に富んでいる荒瀬をさす。
減水
平水よりも水位が下がること。友釣りでは減水はマイナスの要因となることが多い。さらに水が少なくなる状態を渇水と呼び、友釣りでは最も釣りづらい時期。
こ
コケ
アカの別名。(石アカ)
湖産アユ(こさんあゆ)
湖やダムで育ったアユ。ほとんどは琵琶湖のコアユをさす。海から河川にソ上したものは海産アユと呼ぶ。
固着
竿のトラブルの一種で、竿を伸ばした時に、パーツとパーツの開かピッタリとくっついて動かなくなること。 解決法にはいろいろあるが、①二人で向かいあって両手でお互い反対側に
押しながらねじる。②ゴムチューブなどを巻いてひねってみる。③下にタオルを敷いて高い所からまっすぐ落とす。
④横にして下側を板壁などに直角にしっかりと着け、上側に板を当て、竿の中間あたりを曲がらないように押さえ、上部の板をハンマーで叩く。
⑤ジョイント部にタオルを巻いて熱湯をかける。
これでダメな場合は修理扱いです。 最近の竿は肉薄のため、特に固着しやすいが密着部に固着防止の工夫を施したものもある。固着しないためには、伸ばす時に勢いよく引っぱらず、ゆっくり回しながら仲ばすこと。
子持ちアユ(こもちあゆ)
秋、抱卵状態にあるメスアユ。身の味はともかく、煮びたしや甘露煮で卵が賞味される。もう産卵態勢にあるため、釣趣には欠けるが、おしなべて大型である。腹に子を持ったアユは徐々に下流へ下る。
コロガシ
素掛け。引っ掛け釣り。段引き。オモリの下に複数の掛けバリを一直線に並べ、オモリを底で転がすように引いてアユを掛けることからこの名がある。
オトリがなかなか入手できない時代は、これでオトリとなるアユを獲った。
ゴアテックス(ごあてっくす)
防水、透水素材のひとつ。布地の間に特殊なフッ素のフィルムをラミネートしたもので、このフィルムには1平方㎝あたり、90億個の孔があいており、この孔の大きさが水滴よりはるかに小さく、水蒸気となって外へ逃げるが、雨などの水滴は通さない。ジャパンゴアテックス社の登録商標。 カッパやベストなどに使われる。
極細糸(ごくぼそいと)
0.1号、0.15号といった極細番手のナイロンテグス。友釣り用の道糸は年々細くなり、各メーカーから専用糸が発売されるようになった。
ゴム張りオモリ(ごむばりおもり)
割り玉(オモリ)の内側にゴムを張りつけてあるもの。ゴム張りの利点は二つあり、ひとつはオモリの滑り落ちを防ぐこと。もうひとつはオモリと糸の間のクツションとなる、という点。
ゴロタ石(ごろたいし)
ごろっとした石。玉石。底が不安定な、浮石気味の場所の石を呼ぶことが多い。
サ行
さ
竿尻
元竿(握り)のいちばん下。竿先(穂先)に対しての竿のもう一方の端。尻栓付近。
竿抜け
竿が入っていないポイント、場所。もちろんよく掛かる。
逆立ち泳ぎ(さかだちおよぎ)
オトリを泳ぎにくい方向に泳がせたり、あるいは野アユを挑発するためのテクニック。オトリに後方へ抵抗を与えると、オトリは浮かされまいと頭を下げ、尻尾を振り逆立ちして泳ぐような形になる。その時フッと抵抗をゆるめてやるとオトリは勢い余って前進する。このような姿勢を逆立ち泳ぎという。また、こうして頭を下げた時、石に向かってアカをほかような姿勢をつくるためかオトリを挑発する、とされている。
逆バリ さかさばり
逆さバリ。掛けバリをオトリの近くに安定させるために用いる、ハリスを魚体に止めるためのハリ。ハリスに、掛けバリの向きとは逆さに付けることからこの名がある。これを尻ビレ付近の皮に引っかけるように刺す。水の流れを受けて食い込む向きになるので外れにくい。アユが掛かった時は皮が切れるように浅く剌すのが基本だが、ケースによっては深く剌す。
左岸
下流を見て川の左側の岸。
先糸
穂先と道糸の間につけてカラミを防ぐための糸。天上糸と同意。
先調子(さきちうし)
竿にオモリをブラ下げて曲がりを描いた時、その弧の頂点が穂先寄りにあるものをいう。一般に竿の調子を示す時、8対2、7対3といった言い方をするが、技術の発達した今は竿のバラ
ンスを示す表現としては、あまり使われなくなっている。
笹濁り(ささごり)
雨が降って、少し濁りが入った状態。濁りといっても土色の濁りではなくこころもち青白く濁ったような状態。渓流釣りでは、魚が活気づくよい水とされる。
さざ波
ちりめんじわ。一般には風でできる小さな波だが、友釣りでは小砂利の浅い流れの川面の状態などもさす。トロ場やゆるい瀬ではさざ波立ってアユの警戒心が薄らぎ、よい結果を生むこと
がある。
差しアユ(さしあゆ)
下も手の淵などから瀬にでてくるアユ。差して来る、などという。アユには一定の行動パターンがあり、こうした移動はひんぱんにある。夕方、今まで釣れなかった瀬で入れ掛かりになっ
たりするのもこうした行動が理由のひとつと考えられる。出ばみともいう。
差し替えし(さしかえし)
一度、上流や対岸まで泳がせたオトリを手元に戻し、再度、泳がせなおすこと。
誘い
竿、仕掛けを操作してオトリを動かし、野アユの追い気をうながす行為。
縱の誘い、横の誘い、上下の誘いと、さまざまなバリエーションがある。
サラ場
しばらく、釣り人の竿が入っていなかった釣り場、ポイントのこと。
3本イカリ(さんぼんいかり)
掛けバリの形態のひとつで、ハリを船のイカリ状に3本結んだもの。ハリとハリの間は120度ずつ均等になるように結ぶ。近代友釣りの発展を築いた仕掛けのひとつで、それまではハリを2本使うチラシ、ヤナギ、あるいは2本イカリのチョウバリが普通だった。
ルーツは定かではないが、競技会が盛んになってから飛躍的に広まった。
釣果がグンと伸びたことと独特の形態が釣り人に対して強烈なアピールになったためと思われる。
ザラ瀬
主に関東地方で使われる浅いサラサラとした瀬の呼び名。関西のチャラ瀬と同じ意味で使われているが、釣り人によっては、チャラ瀬とザラ瀬を感覚的に使い分けている。その場合、ザラ
瀬は、ちゃらちゃらと流れるチャラ瀬よりも、石が粗くこころもち流勢のある所、と考えているようだ。
し
下波
下層の流れ
下泳がせ
オトリを釣り人の正面よりも下もで泳がせて釣ること。
下竿
流れに直角に立った場合、竿先が正面より下流に向いている状態。また、オトリの泳いでいる位置よりも下流側に竿があること。
シヤクリ釣り(しやくりづり)
オバセた分の道糸を上下にしやくって、オトリを泳がせたり、オトリに上下運動を加えて誘いをかけたりすること。
出水
ダムの放水などで、急に川の水位が上がること。増水も同じ意味だが、増水は友釣りへの可能性がつながるが、出水の場合は絶望的意味合いを持つ。
瞬間接着剤
接着剤のひとつで、塗布して短時間で乾くもの。シアノアクリルエステルの単量体で。塗布すると空気の水が触媒として作用し、接着時回が数秒というものや、一滴で接着力2トンという強力なものまである。友釣りではイカリバリや逆バリなどの固定に必需品。
白川
①雨などによって白っぽい濁りが川に入った状態。②増水などによって川底の石が動き、表面のコケ(アカ)が飛んでしまった状態の川、流れ。
尻ビレ
肛門のすぐうしろにあるヒレ。友釣りでは。この尻ビレの周囲に逆バリを剌すことが多い。天然オトリを購入する場合、このヒレが幾条にも切れていたり、周辺に刺した跡がたくさんあるものは避けた方がよい。また、尻ビレはアユのオス、メスの見分けのポイント。
新アカ
アカが腐って自然に流されたり増水で洗い流されたあとに付着する新しい藻類のこと。アカ腐れのころはさっぱり釣れなかったポイントも、新アカが付くようになると回復する。一般的には洗われた石は白っぽいが、アカが付きだすと黄かっ色を帯びてくる。
時合
本来は時刻や刻限をさす言葉だが釣りでは、魚がよく釣れる時間帯をいう。大体、どんな釣りでも朝と夕方に時合いが来るといわれているが、絶対的なものではない。その日の天候や水
温、川の場合は水量や清濁、海の場合は潮など複雑な条件が絡んでくるので、本当の時合いを知るのは、なかなか難しい。
自動ハリス止め
2つに折った金属線の間に糸をはさみ込んで止める方式の器具。結ばず簡単に仕掛けを着脱できることからハリス交換によく使われている。ただし、使っているうちに金属の開か開いたり、差し込み方によっては抜けることがあるので、必ずハリスに結びコブを作っておくこと。
人工河川
アユを産卵させるために人工的に造った川のこと。琵琶湖の安曇川と姉川が有名で、人工河川では、産卵に適した川床を造り、成魚を放流して産卵させたあと、ふ化した稚魚は自然に育っ
て湖に出ていく。人工河川のおかげで琵琶湖産の種苗生産量が近年安定してきたといわれている。
人工産(じんこうさん)
抱卵したアユから採卵し、受精させたあとふ化させて、河川放流や池中養生用の稚アユにまで育て上げたものを人工種苗とか人工産と呼んでいる。つまり、採卵からふ化、稚魚になるまで
人の手によって育てられたアユのこと。
す
水中糸(すいちゅういと)
天上糸を含まない道糸部分のこと。水の中に入る糸なのでこう呼ばれる。
糸0.3号、0.25号といった呼び方をする時は、この水中糸をさす。
すげ口(げ)
竿の差し込みの部分をいう。もともとは竿のすげ替える囗だから、こう呼ばれるようになったのだろう。
素ダモ
底に布袋を取り付けた袋ダモに対して網だけのタモの総称。
すれっからし
警戒心の強い魚。年魚で学習の集積が少なく、またナワバリを守る意識の強いアユは、魚の中でも警戒心の少ない魚だが、解禁後、釣り人がひっきりなしにやってくると、それなりに警戒心が強くなる。特に群れアユ(遊びアユ)ではその傾向が強い。また、水の多い時よりも減水の時の方が、人や竿の影がプレッシャーになりやすい。
せ
瀬(せ)
川の流れの部分で石や岩が多く、浅くて水面が波立っているような所をいう。大体、流れが速く、溶存酸素も増えるから水中昆虫なども豊富で、釣りには見逃せないポイントの一つ。アユの場合も、つねに新鮮な水が当たるため、アカと呼ばれる珪藻やらん藻がよく付き、友釣りの重要なポイントになっている。
浅くて、ふ石底で、水面がわずかに波立っているような所をチャラ瀬、石が大きく、水流も強く、水面が激しく波立っているような所は荒瀬と呼ばれる。
瀬落
瀬が淵などに落ち込む部分。瀬尻、淵頭。あるいは瀬の中の段差の落ち込みのこと。肩に頃合いの石があることが多く、アユの絶好の付き場。止め釣りのようなスタイルで丹念に攻めると掛かることが多い。
背掛かり(せがかり)
野アユの背中部分にハリが刺さった状態。肉が厚い部分でダメージが少なく、友釣りでは最もよい掛かり所とされている。頭や尾、腹によく掛かる時はハリ先を点検したり背中ですべ
って尾に掛かる場合があるハリスの長さを調整すること。
瀬頭
川は瀬と淵の連続である。淵の水が瀬となって駆け下りる、その先頭部分が瀬頭。
瀬肩
流れが次の瀬に落ち込む手前の川底が盛り上がった所を指すことが多い。
アユが好む場所であることから、友釣りではいちばん重要視されるポイント
である。
瀬尻(せじり)
瀬が淵やトロ場に入る部分。淵頭、瀬落ち。
瀬尻の開き(せじりのひらき)
広がりながら淵やトロ場に流れ込む瀬尻のこと。
瀬トロ
深瀬の中でも、流れが比較的ゆっくりした部分。瀬でもない、トロ場でもないといった所。
瀬の中の段(せのなかのだん)
瀬の中でも平らになった部分を段と呼ぶ。平らになった部分け流れもゆるくなり、アユが居着きやすい条件となる。もちろんオトりも落ち着きやすいので掛かる率も高くなる。
背バリ
オトリを深く潜行させたり、強い流れの中に沈める時にオトリの支点をうしろにもってくるためのハリ。鼻カンよりも上の糸にセッ卜して、このハリを背中に刺す。こうすることによってオトリの支点は魚体の後方上部に下がり、アユは頭が下がって潜りやすくなる。そのままでは掛かった時の抵抗も大きいので、野アユが掛かった時は皮が切れるように薄く刺す。弱った
オトリを使ううえで重宝するが、オトリが元気なうちにやる方が効果的。
瀬脇
流心の両サイドにできるゆるい流れのこと。
ゼロオバセ(ぜろおばせ)
オバセが水中の糸フケのことをいうのに対して、ゼロオバセは糸フケを取らない状態をいう。
ゼロ感覚(ぜろかんかく)
道糸をオバセず、かつ、穂先が曲がってない状態を手感で取ること。
そ
側線
魚の体の両側にある一本、または数本の線のこと。主に水流や水圧を知る感覚器官だといわれている。また、魚によっては、味覚を知ることもできるといわれている。
底石
川底の石。その大きさや配置が友釣りの条件を大きく左右する。
遡上
アユが川をさか上ること。友釣りでいうソ上とは天然ソ上、つまり海産の稚アユが海から川を上ることをさすことが多い。
タ行
た
タイツ
アユタイツのこと。ウェットタイツ。ネオプレン、テビロンなどの断熱素材でできており、体温が水から奪われるのを防ぐ。仲縮性があり、動きやすい。かつて腰を冷やすといわれたアユ釣りだが、最近はこうしたタイツの普及で高齢者にも楽になった。
高切れ
仕掛けの高い位置、つまり道糸の部分から切れてしまうトラブル。友釣りの高切れは致命的なトラブルである。たった一度の高切れが原因でせっかくのリズムが狂ってしまうことがある。
立て竿
竿を垂直に近い状態に立てて釣ること。オトリの自発的な動きにまかせる泳がせ釣りでこの方法をとる。
タビ
和装用のはきもの。かつて川釣りでは地下タビにワラジというスタイルが中心だったが、近年、友釣り専用の夕ビが作られるようになった。現在の主流はネオプレンなどの防温素材ででき、底には滑りにくいフェルトを張ってある。先丸中割礼式やサイドまでフェルトをめぐらせ、より滑りにくくしたものなど、さまざまな改良が加えられている。
玉石
ソフトボールからスイカ大の丸い石のこと。
ため
竿の弾力を生かしながら、掛けたアユの走りと、水圧を制御してもちこたえること。糸と竿が直角内にある場合、竿の弾力が発揮されるが、鈍角になると生きず、のされた状態になる。大きなアユになるほど、また強い流れのポイントほど竿でためる技術が必要になる。
タモ
魚をすくう網のこと。アユの場合、大きく分けて素ダモと袋ダモに分かれる。素ダモとは、文字通り枠に網を付けただけのもの。袋ダモは、網の下部が布になっていて、そこに水がためられるようになったものをいう。口径の大きな引き抜きダモも市販されている。
枠には金属や力-ボンなどの素材が使われているが、木目の美しい天然木も人気がある。網の素材も天然と化繊とがあり、機械編みと手編みとでは、ずいぶん値段が違う。
タルミ
流れの中に部分的にできたゆるやかなところ。石の裏側(下流側)などにできやすい。流れれの強い場所でも、こうしたタルミにオトリを入れて休ませながら探ると有効に釣ることができる。また、その石に付いている野アユがよく待機している場所であり、攻め場としても見逃せない。
ダブル編み付けハナカン
ハカン結びの一方法。オトリの魚体に合わせてハリスの長さが調節できるが、編み付け方法は少し手間である。片方だけ編み付けるのが一般的だが、上下とも編み付けると、野アユが掛か
ったショックでオトリが上にすべり上がりにくい。
ち
畜養
飼い養うこと。獲ってきた稚アユをプールなどの池で飼い、大きくしてから放流に回す。期間、場所は様々。「仕立てる」ともいう。
チチワ
糸の端に8の字結びなどで作った輪のこと。チチワを使って道糸と天上糸を結んだり、竿先に天上糸を結んだりと、用途は多い。
チビダマ(ちびだま)
小さい丸型のオモリのこと。実際には2号ぐらいまでのもの。水中でオトリはオモリを引っ張って泳いでいるが、その抵抗の違いから、細糸、チビダマの方がオトリが弱りにくい。
チャラ瀬
瀬のひとつ。サラサラと波立つ流れの浅い瀬のこと。
つ
付きアユ(つきあゆ)
ナワバリをもったアユ。
て
手返し
取り込みから送り出しまでの一連の手順のこと。これをムダなくスピーデ
ィーにこなすことが上達の第一歩。手返しが早い、遅いなどという。
手尻
竿の長さを超えた仕掛けの、その超えた部分。バカともいう。手尻が長いほど広範囲にアユを泳がせることができるが、そのぶん送り出しが難しくなる。 また、手尻が長い方が大物や荒瀬でのやりとりが有利になる。
天上糸(てんじよういと)
竿と道糸(水中糸)の間に入れる太めの糸。主に竿へのまとわりつきを防ぐ。細い水中糸をそのまま蛇口に結ぶと竿先に巻きつきやすく、そのため巻きつかない程度に張りと重さのある太めの糸を入れる。これが天上糸。高価な道糸を節約する役目もあり、たとえば10mの竿いっぱいの仕掛けを作る時、5mの天上糸を入れると2倍節約できる。
出ばみ
アユが淵から瀬にアカをはみにでてくること。(差しアユ)
と
トーナメント
勝ち抜き戦のこと。友釣りの大会ではトーナメント形式、リーグ(総当たり)形式に関係なく、競技会を指す。
闘争心(とうそうしん)
闘争する魚には何種類かあるが、アユの場合はエサ場であるナワバリヘの侵入魚に対して攻撃する。侵入魚は激しく反撃せず、正確には闘争ではない。
特別解禁(とくべつかいきん)
一般解禁に先がけて、特別料金を徴収して解禁すること。
トックリ結び(とっくりむすび)
イカリバリなどに糸を固定する時の結び方。輪を作ってハリリや鼻カンに通し引き締める簡単な方法。
取っ付き
ハリ先が魚体に立つこと。魚体をとらえること。
掛けバリのハリ先が鋭く、野アユの皮膚を滑らずにまとわりつく、または刺さりやすさの度合い。「この掛けバリは取っ付きがよい」などという。
トロ
深みがおり、水面は波立たず、ゆっくりと流れる所。淵はたんに地形をさすが、トロ場は流れ方を加えた呼び名。水深があれば深トロ、浅めは浅トロ。
胴締めオトリ(どうじめおとり)
長良川などで古くからある釣り方でオトリのエラのすぐ後ろを0.8号ぐらいの太さのタコ糸で締め、ハナカンから出ている水中糸をその上部にくぐらせ、水中糸がオトリの背中から出るようにして釣る。背バリと同じ効果がある。利点は、背バリのように外れないこと。また、エラの後ろを締めるとアユが囗を開くので、開いた囗に水流を受け瀬の中を沈めやすくなるし、野アユに自分のナワバリのアカをはんでいると思わせるので追いが活発化する。
土用隠れ(どようがくれ)
夏の土用とは立秋の前の十八日間で、夏のピークのころ。土用隠れとは、この時期、アユが釣りにくくなることを。隠れる”という言葉で表したもの。
釣りにくくなる原因は、まず渇水による高水温とアカ腐れ。そして釣り人へのおびえによる。最もデリケートなシーズン。
ナ行
な
ナイロン糸(ないろんいと)
釣り糸のひとつ。またはナイロン製の糸のこと。ナイロンとは、ポリアミド樹脂系合成繊維の総称で。もともとは商標名。絹、人絹本テグスより軽くて強い。
ナイロンモノフイラメント(ないろんものふらめんと)
ヨリ糸ではないナイロンの単糸、ナイロン糸と同意。ナイロンモノフィラメントといういい方をされるのは、夕モ網の材料として、そう呼ばれる場合が多い。
長竿
標準的な長さの竿よりも長い竿。時代とともにアユ竿の標準的な長さは変わってきた。カーボンロットの出始め、グラスの方がまだ多かった時代はグラスの6.3mに対してカーボンの7.2m以上のものが長竿であった。また8.1mが標準となると9mが長竿。
9m標準時代には10m11mびといったものが長竿と呼ばれた。
現在、10m以上長い竿は、ほとんど使われていないことから、あえて、長竿と呼ぶ必要がなくなりつつある。長竿の利点は、遠いポイントが狙えることだが、操作性は長くなるほど難しくなる。これはいくら素材が軽くなっても風や重力がある以上、避けられない。
流れ込み(ながれみ)
支流や細流か流れ込んでくる所。その合流点。本流が濁っていても流れ込み周辺だけ澄んでいることもある。
投げ縄結び(なげなわむすび)
投げ縄のように本線を引っ張れば結び目がどんどん締まり、端糸を引けば結び目がゆるむ結び方。
なめ跡
アユが石の表面のアカをはんだ跡。ハミ跡ともいう。その部分だけアカが削り取られ。独特の笹の葉状の疸跡が残る。アユの付き場を知る手がかりとなる。
ナメラ
岩盤地帯の中でも、滑らかになったところ。アユの付き具合がよく見えポイントとしてもよいが、その地形上、釣りにくいところが多い。
ナワバリ(なわばり)
アユが、その食料であるコケを確保するために、他のアユの侵入を許さない勢力範囲。
に
濁り
大雨や上流の工事などで上流部の土砂が流れ、川が濁ること。(赤濁り、笹濁り、白川)
日券
日釣り遊漁券。その日一日だけ有効の鑑札。
二番アユ(にばんあゆ)
二番目にそのポイントに入ったアユ。そのポイントにいたアユが釣り上げられたあと、そこにナワバリを作るアユ。
一番目に対しての二番目かという点ではあいまいだが、慣用としては、当日、あるいは前日ぐらいの時間ワクの中での前住アユに対しての後住アユ。
入漁券(にゅうぎょけん)
釣りをするための鑑札。遊漁券。
入川
川に入ること、釣りを卞ること。
ぬ
ヌメリ
魚の体表の粘液。アユの場合、このヌメリが大切で、素ダモに入れた状態で長く流れの中にさらされると、ヌメリがとれて弱ってしまい、オトリとして使いにくくなる。また。このヌメリ
がアユの香りの元となっている。
ね
根掛かり(ねがかり)
仕掛けやオトリが底の石や障害物に引っかかること。とりあえず竿をしやくってみる人が多いが。細い糸を使う友釣りで無理は禁物。場所を移動して違う方向からしゃくってみると外れることがある。どうしても外れなければ直接、根掛かりしている場所まで入って行き、手で外すか足で底石を動かして外す。
根巻き糸(ねまきいと)
掛けバリや逆バリをハリスに固定するために用いる細い糸のこと。ポリエステル、ナイロン製が現在の主流。
年券
ひとシーズンを通して使えるアユ釣りの遊漁券のこと。1枚の券でそのシーズン中なら何回でも釣りをしてかまわない。 これに対して日券は券を購入した当日だけの遊漁券。
の
野アユ
本来は野生のアユという意味であるが、現在では養殖アユや、オトリに対して、天然アユ、放流アユを含めた川にいる友釣りの対象となるアユを指すことが多い。
残りアカ(のこりあか)
出水などでほとんどのアカが流されてしまったときに。大岩や岩盤のカーブの内側などに残ったアカ。 アカを常食とするアユは大方のアカが流されてしまうと残りアカのあるところに集まってくる。出水のあとは残りアカを探せ、といわれるゆえん。
ハ行
は
ハカマ
替え手元のこと。竿のいちばん手元と入れ替え、竿を短くして使う時に用いる。たとえば10m竿で元竿を抜いてハカマを付けると、約9mの竿に変身する。竿を1本しか持っておらず、川幅の狭いところで釣りをする場合には有効。
弾かれ
ハリが野アユの体に触っても褂からないこと。
8の字結び(はちのじむすび)
糸の結びのひとつで、結び目が。8の字″になるようにする方法で、結び目の両端から出る糸がまっすぐになるのが特徴。結びの基本で。友釣りでは天上糸のチチワ部、天上糸と水中糸結節部の結びコブ、バチカン周りの接続など応用範囲は広い。
ハナカン(はなか)
アユの鼻に通す金属製の輪。現在、主に使われているのは、丸めただけのリングハナカン。泳がせ釣りが流行したところ、リン青銅の素材で自作がはやったが今では各メーカーからいろいろな素材、形をしたものが売られている。素材にはリン青銅、アルミ、チタン、銀、洋銀などがあり。特にこれでなければというものはない。
ハチカンに要求されるのは、何十回の使用にも耐え変形しないもの。大きさは内径で5~9㎜。リング型の他、フック型、ワンタッチ型などがある。
ハミ跡
アユが石についたアカを削り取って食べた跡。このハミ跡の大小や多い少ないで、その場所のアユの大小や多い少ないを知ることができる。
ハミ跡の大きさはアユの大きさに比例し、15㎝のアユなら幅が約1.5㎝ハミ跡、20㎝クラスのアユなら幅約2cmのハミ跡を残すといわれている。
はむ
アユが石についたアカを削り取って食べる行為。大きく裂けた囗には突起した櫛状の歯があり、この歯で石の表面のアカを削り取るように食べる。
早瀬
瀬の一種で、浅く水面は白波が立って流れは速く底石の質が二重、三重に重なり合っている状態の所。
腹掛かり(はらがかり)
掛けバリがアユの腹側に掛かった状態。腹に掛かったもの、特に内臓を直撃したものは弱りやすく、中にはすでにグロッキーになっているものもあり次のオトリには向かない。
ハリ合わせ(はりあわせ)
友釣りをする場合に、川やアユの大きさ、アユの活性など、あらゆる条件を考えて、その日、その時に使うハリの種類、大きさを選ぶこと。ハリがその時の条件にうまく合っていないと「当たりがあっても「ハリに乗らない」「バラシ」につながる。ハリの「掛け率」「刺通性」「保持性」の、それぞれの兼ね合いを考える必要がある。
ハリケース
3本イカリや4本イカリを収納しておく容器。最近のものは、軟質発泡素材に切り目を入れて、そのすき間に掛けバリの一辺を差し込んでおくタイプが多い。外側は樹脂、プラスチ。ク製で、内部に水が侵入しないよう防水機能を備えているものがほとんど。釣り場でモタつかず、簡単に素早く取り出せるものが便利。
ハリ立ち(はりだち)
ハリの刺さりやすさの度合いのこと。ハリ先が鋭く、刺さりやすいハリに対して「ハリ立ちがよい」という。「ハリのとっつき」とも言う。
バカ
竿尻よりも長く出た仕掛けの部分。手尻ともいう。糸フケの抵抗を利用する泳がせ釣りではバカを1ヒロ2ヒロ長くとったり、逆に引き抜きを前提とする釣りでは、バカは50㎝と短め。
バラシ
掛けた野アユがハリから外れたり、道糸やハリスを切られたりしてアユを逃がすこと。友釣りの場合では、オトリまで逃がしてしまうと、一度のバラシで釣果がマイナスになってしまうこともある。
ひ
干川(ひかわ)
長い間、雨が降らなかったり、ダムの放水がなかったりで、干上がった川のこと。水量が極端に少ないため、水中のアカも腐り、友釣りには最悪の条件。
引き上げ(ひきあげ)
瀬で引き釣りをするとき、オトリを上流へ移動させる行為。オトリを直接、竿で引っ張ってやると、オトリの弱りが早くなるので、糸フケの抵抗などを利用して、オトリ自身に泳がせて上流へ上らせる。オモリを使っている時は竿で直接引っ張ることが多い。
引き釣り(ひきづり)
友釣りのテクニックのひとつ。一般には竿を寝かし、糸を張って上み手へ、上み手へとオトリを引き上げながら釣るので、こう呼ばれる。
流れの速い瀬でよく使われるが、友釣りでは最もベーシックな釣り方。荒瀬などでは、オモリをかまして釣ることもある。
引き抜き(ひきぬき)
友釣りの取り込みの一種。道糸をたぐって取り込む引き寄せに対して、オトリと掛かりアユを一気に空中輸送して取り込む方法。実際には、野アユを掛けたら竿でアユの引きをため、水面まで浮かし竿の弾力を利用して水面を切り、宙を飛ばしてタモでオトリと掛かりアユを同時にキャッチする方法。現在の友釣り競技会では主流の方法で、取り込みに要する時間が短くてすみ、能率的に数を釣るには最適であるが、アユが大型になるほど取り込みがむずかしい。
引き抜きダモ(ひきぬきだも)
引き抜き取り込み専用の口径の大きなタモ。引き抜き、取り込みではオトリと掛かりアユを同時にタモで受けるため、タモの口径が小さいとキャッチしづらいので、口径36㎝39cm42cmという大きいものが使用される。
網は素ダモと袋付きがあり、どちらを使うかは好み。メーカー量産品の金属枠ダモが多いが天然木作り品にも引き抜き用がある。
引き舟
釣ったアユを一時的に入れておく、舟型をした容器。昔は木製だったが、金属製を経て現在は流体力学を取り入れたプラスチック製が主流になっている。タテて持ち運んでも水がこぼれないなど、いろいろなアイデアがこらしてある。
平瀬(ひらせ)
瀬の一種で、浅く、水面はシワのような波で流れが速く、底質が一部分、砂泥に埋まっているような状態の所。
ヒロ
両手を左右に広げたときの指の端から指の端までの長さ。約1.5m
ふ
深場(ふかば)
川の中で、淵、トロ場などの水深のある所。深場は水温がいく分低いからアカのつきが浅場に比べて遅い。またアカが腐りにくいので、渇水期のアカ腐れ時にも、アカが残っており、アユが多くいる。そんな時にはぜひ狙ってみたいポイント。
伏流
ある区間だけ川の水が地表から地下に入り込んで流れている所。伏流が川の中でわき出ている所は、渇水期でもアカが腐りにくく、野アユが付くので、そんな時の好ポイントである。
袋ダモ(ふくろだも)
タモの網の底の部分が袋状になっており、この袋の中に水を入れて、一時的にアユを運べる。
淵
深くて流れもゆるく、水面も波立だないで、底が岩盤か砂であるようなところ。瀬尻からの流れが対岸の岩盤や大石などにぶつかり、川底を深くえぐって淵を作る。川底の岩盤にアカは
つくが砂にはアカがつかないので、淵にいるアユはほとんどナワバリを作らない。したがって非常に釣りにくい場所であるが、壁となっている岩盤付近や、深場のかけ上がりを狙って釣ることができる。
フクブク(ぶくぶく)
オトリ運搬に使うエアポンプの俗称で、泡がフクブク″出るところからのネーミング。
へ
ヘチ
辺地。もっとも岸寄りの所。友釣りでは重要なポイントのひとつ。瀬、卜口場など、どんな所でも「まずヘチから攻める」とよくいかれている。水際から離れ身を隠して釣るか、また泳が
せ釣りでオトリをシモからカミに泳がせて攻めるとよい。
また、川の対岸のヘチも好ポイントである。対岸が岩盤や木が茂っていて、そこへ直接釣り人が入れない場所であればなおさらである。
ベスト
釣り用のチョッキのこと。友釣り用のベストには仕掛け類が多く入るポケットがたくさん付いたものが多く、着丈も、川に深く立ち込んでもポケットの中身が濡れないような超ショートタイプが現在の主流。素材は撒水加工されたものや、ゴアテックスなど防水透湿性のあるものが最近の主流。
べ夕竿
引き釣りなどで、竿を水平近くに寝かせた状態。
蛇口
竿先の糸を結ぶところ。昔は輪になったものが多かったが、現在は1本物のリリアンが普通。蛇口に糸を結ぶ方法には「ぶしょう付け」「投げ縄結び」などがある。
ベルト
一般には、おびかわ、バンドのことであるが、友釣りではタモを腰に差したり、引き舟のヒモを引っ掛けておくなど、多目的に使用される。
偏光グラス(へんこうぐらす)
「偏光」とは、ある隕られた方向だけに振動する光波のことをいい、偏光グラスとは、ある限られた方向に振動する光だけを取り出し他の余分な光をシャットアウトするメガネのこと。余分な光をシャットアウトすることで、水面の乱反射をおさえ。水中をくっきり見ることができる。
釣り用には、普通のメガネタイプのものから、メガネに直接取り付ける夕イプ、帽子のっぽに取り付けて、必要時以外はハネ上げられるクリップタイプなどがある。
ほ
穂先
竿のいちばん先端の部分。竿先ともいう。
穂持ち
振り出し竿や並継ぎ竿など竿の部分の名称で、穂先からかぞえて2番目、穂先の次の部分。
ポリプロピレン(ぼりぶろぴれん)
プロピレン(石油留分中の分解ガスに含まれる無色で剌激臭のある気体)を重合した合成樹脂。耐熱度が高くて軽い。友釣り用品では、アンダーウェア(アンダータイツ、シャツ、ソックスなど)に多く用いられており、乾きが早くべ夕つかない。保温性に優れているなどが特徴。
マ行
ま
まずめ
日の出るころを「朝まずめ」。日没のころを「夕まずめ」という。海釣りでは魚がいちばん釣れる時間帯を指すが、アユの場合は一概によく釣れる時間帯とはいえない。
み
身切れ
ハリ掛かりした野アユの肉が刺さった部分から切れること。軸の細いハリや流勢の強い荒瀬などでは身切れでバラしやすい。
水切り糸(みずきりいと)
水中糸、道糸に同じ。
水切れ
道糸で水切れがよいといえば、水中に入っている道糸部分に流れの抵抗を受けにくい、という意味。細さ以外に素材面によっても水切れの良さは多少違ってくる。タモで水切れがよいといえば、タモを濡らせたあと、水分を分離しやすい、という意味で使う。素材としてはナイロンモノフィラメントの網は他の素材より水切れがよい。
道糸
天上糸と鼻カン、あるいはツマミ糸の間の糸。
む
群れアユ
遅くに放流されたり、まだ十分に成長していないアユが淵尻の小砂利のアカを群れてはんでいる状態、または群れのこと。
め
目掛かり(めがかり)
掛けバリが野アユの眼球にささったもの、状態。オトリには適さない。
目印
見つけたり、見おぼえたりするためのしるし。友釣りにおける目印とは、元来、細くて肉眼でとらえにくい道糸の動きを自分の目ではっきりと見るためのもの。現在は0.15号や0.2号という極細糸が広まり、アルファ目印に代表される毛糸目印が軽くて道糸を傷めないという理由で主流。
も
持ち重り(もちおもり)
同じ重量の竿でも、実際にのばしてみると、手に感じる重さが違うことがある。このような重く感じる竿を「持ち重りがする竿」などという。
元竿(もとざお)
振り出し、並継ぎ竿の部分の名称。
手元の最も太い部分全体をさす。
ヤ行
や
矢引
弓をひきしばった状態の左右の手の間隔。1ヒロの半分よりやや長い。
ゆ
タバミ
夕方の出バミのこと。快晴の日の夕まずめ、こんな所でと思うような場所で突然、入れ掛かりになることがある。
よ
夜ハミ
アユが夜間に石のアカをはむこと。普通、ほとんどのアユは夜間の活動を停止し、アカもはまない。
ヨリ
糸が左右いずれかの方向に巻きぐせかつくこと。「-がかかる」
ヨレ
川の流れの中で、流心とその脇の流れるスピード差が生じる部分、二つの流れが合流する部分、石裏の流れの夕ルミの後ろなど、まっすぐな流れではなく水流がよれているような所。
一般に流心に比べて流勢が弱くてオトリが入りやすいし、ヨレのできる所は川床の変化がある所なので野アユの多い好ポイントである。
4本イカリ(よんほんいかり)
掛けバリのひとつのパターンで、4本のハリをそれぞれ90度の角度でイカリ状に組んだもの。十字バリともいう。
最近の友釣り競技会ではばとんどの選手が4本イカリを使用しており、一般にも広まっている。利点は野アユの掛かりが早く、あらゆる角度の追いにもハリ先が対応していること。逆に底石をかくことも比例して多いので根掛かりする率も高い。
ラ行
ら
り
流心
流れの芯のこと。一般には瀬で使うことが多く、水量が多く最も速く流れている所。友釣りでは、ポイントの一つの目安であるが、水量の関係で本命ポイントであったり、アカが飛んでいてアユが付いていない時もある。
流勢
流れの勢いのこと。ポイントを決めるときの一つの目安。
流速
流れの速さ。瀬を細かく分けていくときのひとつの目安になるが、釣り人が使う場合は大ざっぱである。
る
れ
ろ
ワ行
わ
若アユ
シーズン初期の小型アユのこと。梅雨明け頃までの成長期にある若々しくて元気のあるアユを指し、追いは活発。
A-Z
参考文献:ベーシック鮎読本―ゼロからハイテクまで
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